気ままに気まぐれに

気ままに気まぐれに

愛犬とのアウトドアとか車、PCガジェット、ゲームなんかの日記

電力値上げで騒然?現在のエネルギー事情

電力各社が値上げを国に申請を始めました

なぜそのようなことになっているのか

詳しく解説していきます

 

現在、東北電力北陸電力中国電力四国電力沖縄電力

5社が経産省に値上げの申請を行いました

東京電力エネジーパートナー(東電EP)も申請を検討中です

最終的には全電力会社が申請をすることになるでしょう

 

なぜこのようになっているのか

どういう仕組みなのか

業界人の端くれの私が詳しく解説します

ちょっと難しいですがなるべくわかりやすくします

途中でめげないで?

 

なんで値上げできないの?

不思議に思いませんか?

なんで値上げするのに国の許可が必要なのでしょうか

それは「燃料費調整制度」という制度に基づいて

電力料金が決まっているからです

 

電力自由化に伴いこれに左右されない

 自由料金も存在する

 つまり、自由化以前の料金形態

 (規制料金という)

 

燃料費調整制度とは?

東電EPのHPには懇切丁寧に説明するページがあります

燃料費調整制度(低圧)│家庭のお客さま│東京電力エナジーパートナー (tepco.co.jp)

 

難しいですよね

ここではもう少しかみ砕いて説明します

 

まず制度の概要です

経産省資源エネルギー庁が定めている制度

発電コストの大半である燃料の価格の変動を

既定の算出方法にて

電力料金の一部に反映する制度です

 

そして、これが値上げを申請しなきゃならない

原因になっているのです

なぜか・・・

それは、燃料費の基準燃料価格の1.5倍までしか

許可されていないんです!

 

因みに東電EPの場合基準価格44,200 ¥/kLで

上限が1.5倍の66,300 ¥/kLです

現在10万円を超えている状態ですが

この差分が値上げができていない

料金に転嫁できていない、ということです

 

この基準燃料価格なんかについては後程詳しく解説します

 

どれくらい燃料高くなった?

なぜ値上げできないのか

なぜ赤字になっているのか

ざっくり理解できたでしょうか?

 

では次に、燃料高いと言われても

色々値上がりしてるからわかっちゃいるけど

どのくらい上がってるの?

と、一般の方はなんとなくしか

わからないと思いますので

実際に数字で見てみましょう!

 

先述した燃料費調整制度では

日本の貿易統計に基づいています

はい、今度は財務省です

財務省の貿易統計はwebでみれますので

気になった方は見てみましょう!

財務省貿易統計 Trade Statistics of Japan (customs.go.jp)

 

見方が分からない?

うん、頑張って・・・

 

ではでは、火力発電で使われおり

燃料費調整制度の対象となっている

原油液化天然ガスLNG石炭

コロナで大暴落する前の2020年1月と

直近の2022年10月で比較してみましょう

 

※K=1000 M=100万

 

まずは原油です

  量(KL) 金額(K¥) 単価(¥/L)
20/1 14,326,554 692,995,608 48.37
22/10 12,607,311 1,218,927,319 96.68

2倍ですね

因みに7月度は約100 ¥/Lでした

 

次に液化天然ガスLNGです

  量(Mt) 金額(K¥) 単価(¥/t)
20/1 7,512,604 394,235,838 52,480
22/10 5,086,665 795,245,341 156,340

3倍です!

因みに9月は165,900 ¥/tでした・・・

 

最後に石炭です

  量(Mt) 金額(K¥) 単価(¥/t)
20/1 16,549,566 189,208,898 11,433
22/10 14,714,387 783,311,871 53,234

5倍です!!

元々石炭の価格は原油に左右されない

安定した燃料でした

それがこの高騰です

為替影響も大きいです

 

燃料高騰の規模がわかったでしょうか?

業界にいると途中で考えるのをやめるレベルで

上がっているのです

 

制度の中身を詳しく解説

ここまでは前提の基礎知識でした

では、燃料費調整制度の中身を

東電EPを例に詳しく解説します

 

まず、料金の内訳をみてみましょう

従量電灯Bという契約だと

という形態です

 

この従量料金は1kWh当たりいくらか

というものですが

この従量料金で決まっている

基本的な〇〇¥/kWhにたいし

燃料調整費が”+”ないし”ー”されるのです

 

じゃあその価格はどうやって決まるのでしょうか

それは原油LNG、石炭の各貿易統計3か月の

移動平均を各係数をかけ、加算したものと

基準価格との差分を原油換算1k¥/kLあたり

○○銭ほど変動させる

 

・・・

 

だってもう読んでる人いないはずだし

誰もついてきてないもん

いる?いないよね?

 

はい、ごめんなさい

 

基準となっているのは平成24年1~3月の

原油LNG、石炭の貿易統計の平均です

それを原油以外を熱量から原油換算して

1kL=44,200円

としたのです

 

これが最初のほうにも出てきた基準燃料価格です

 

そして、毎月の価格はこの基準燃料価格よりも

高いか安いかで調整されています

 

算出方法は3か月前から過去3か月の

平均価格を求め原油換算し

それぞれに係数をかけて計算します

因みに係数は

原油:0.1970

LNG:0.4435

石炭:0.2512

でした

 

でした!

後述します

 

この係数はどの程度価格を反映すべきか

といったもので

使っている燃料の比率に近いものです

 

家庭用ではないですがこうやって

毎月お知らせがあります

最新の燃料費調整のお知らせ(法人)│燃料費調整制度とは(高圧・特別高圧)│東京電力エナジーパートナー (tepco.co.jp)

 

ね?10万円超えてるでしょ?

ここまでついてきてくれた人なら

わかったかな?

因みにこのページのは企業向けなので

上限なんてありませんw

しっかり値上がりしてますよ~

 

因みに家庭用はこちら

燃料費調整のお知らせ(2023年1月分)

 

12月と1月で変動してないでしょ?

上限にきちゃってるってことです

 

ちょろっとまとめ

だいたいわかったでしょうか?

燃料はバカみたいに高騰してるし

値上がりした分は転嫁できないし

その仕組みは国のもんだし

だっふんだ!ってことです

 

今後はどうなるのか?

ってことが気になりますよね

電力各社はこの”基準燃料価格”を上げさせてくれ!

と申請を出しているのです

つまり、上限が上がるということです

 

元々下限は設けられていないので

私は仕方ないよねって感じです

どのくらい影響するかはTVとかでも

解説しています

間違っている情報も多いですがね・・・

 

おまけ 法人向け

東電EPの高圧/特別高圧の場合

すでに2023年4月から変更されることが決まっています

 

特別高圧・高圧の電気料金の見直しについて|電気料金プラン 高圧・特別高圧|東京電力エナジーパートナー株式会社 (tepco.co.jp)

 

係数が変わるといったのはここでわかります

石炭が大幅に増え、原油はほぼ0です

つまり、東電は油をほとんど

使ってないってことですね

 

さらに、基準燃料価格は64,900 ¥/kLまで上がります

それでも、1.5倍で97,350 ¥/kLなんですよね

 

従量料金の基本単価は22銭で基準燃料価格まで

上げてくるだろうし

1k¥/kL当り22銭ほどだったのが

15銭とかに下がるので

実質的な値上げですね

 

たぁだ!!

それじゃあまだしんどいんよ!ってことで

電力の市場価格が高いときは上乗せさせてね!

という市場価格変動に対する調整が加わりました

 

これは説明では市場から購入することもあるから

って言ってますが

そもそも卸してんの東電じゃんw

ってことで、需要期(夏や冬)は市場価格が上がるので

その分いただくぜ!

ただし、安いときは値引きしますよ~

ってことですね

 

ふぅふぅ・・・

 

だいぶ息切れしてきました

こんなもんでいかがでしょうか

頑張ってかみ砕いたつもりなんですが

それでも難しいですよね

 

最後に愚痴を言わせてもらえば

自由化で安くなる?

そんなの幻想だって始まる前から分かってたじゃん

(ヾノ・∀・`)ムリムリ

 

市場だって旧電力会社たちがいなかったら

成り立たないものなのに

新電力のために安くなんて卸さんよ

 

自由化で一気に登録してた新電力たち

息してんのかねぇ